このページでは【概念空間論】という考え方について解説していきます。
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概念空間論のメリット
概念空間論の考え方を学んでいただくと、様々なメリットがあります。
読書、研究によって見える風景が変わってしまいます。
いろいろな分野を包括的に把握できるようになります。
概念空間論
概念空間論の基本の考え方&イメージの解説動画
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概念空間の定義
■【概念空間】の定義
【概念空間】とは、我々が持つあらゆる概念が浮遊する空間のことを意味します。
例えば、
「人間」「動物」「神」「三角形」「数」「善悪」「机」「鉛筆」etc…
概念空間内では、このように諸々の概念が、相互に関係性を結びつつ浮遊し、また生成・消滅を繰り返しているものと考えます。
■【概念空間】の定義
【概念空間】とは、無数の概念が相互に関係性を結びつつ浮遊する理念的な空間である。
概念空間のイメージ
■概念空間のイメージ
まず、無限の広がりを持つが何もない空虚な空間を思い浮かべて欲しい。そこには球状の物体のようなものが一つだけ浮遊しており、これを我々が持つ特定の概念だと考えよう。
次に、この特定の概念に関連する多様な概念が大量に浮かび上がり、すべてが繋がりを持った状態を想像して欲しい。
このように無数の概念同士が相互に関係性を結びつつ浮遊する空間を【概念空間】と呼ぶことにする。
■0.空虚な空間
まず、無限に広がりを持つが何もない空虚な空間があると想定する。
■1.概念の浮遊
次に、この空間に一つの概念が現れ、浮遊しているところを考える。
■2.他なる概念
さらに、この概念と関連する無数の概念が現れ浮遊する空間を考える。
■3.概念同士の関係性
最後に、これらの概念同士が相互に何らかの関係性をもって結びついている状態を考える。
概念平面
【概念空間】をより扱い易くするため、これを紙面上に落とし【概念平面】というものを考える。
■概念空間あるいは概念平面
概念空間の様々な見方
概念空間には幾つかの見方があるものと考えることができるため、以下に幾つかの代表的な例を挙げてみます。
■1.個人の持つ私的な概念群
まず私たち人間の各人の【概念空間】というものが考えられます。
人間はこの世界に生れ落ち、幼児から大人になる過程で、様々な概念を形成・獲得・蓄積していくが、これらの概念群から構成される【概念空間】を考えらえる。
各人がどのような概念群を持つかは、その人が受けた教育や価値観や学習の興味の範囲などにより大きく左右されるもので、かなり個人差があると言える。
例えば、哲学の研究者は、一般の人より多く哲学の概念を保持しているし、物理学の学者は物理概念について他の人々より精通しているだろう。
このように考えると、「個々人の異なる概念空間」というものを想定することには大きな意義があることに気付く。
■2.人類にとっての概念空間
もっと広い捉え方では、人類がこれまでの歴史的なプロセスのなかで作り出した諸々の概念からなる概念空間も考えられます。
人類の概念空間の中では、あらゆる概念が生成・消滅を繰り返しているものと考えることができます。
例えば、ある時代まで支配的な地位にあった概念でも、他のより包括的で有用な概念が登場することで淘汰されることがある、という具合です。
■3.宇宙に実在する概念の空間
宇宙空間に、諸々の概念が集まっている物理的に実在する空間があるとすれば、それは概念空間と呼ぶことができるだろう。
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【概念空間】はこのように様々な見方ができますが、以下で考察する概念空間は、もっと一般化・抽象化された概念の理念的な空間だと考えて下さい。
補足;概念の不足状態
概念空間の枠組みの中で、とても重要な考え方として、【概念の不足状態】がある。
※詳細はこちら
![](https://mabuchi-gainen.com/wp-content/uploads/cocoon-resources/blog-card-cache/4aae692903c9b742a839279cdca9d3dd.jpg)
概念空間の影響
概念空間の意義
■概念空間の意義
概念空間という考え方を用いると、多様な概念をより包括的に記述・把握・分析することができる。
後に【概念グラフ】という記述方法について触れるが、この考え方を活用すると概念の構造を視覚的に記述したり、我々の思考をより明瞭に表現できる。
また概念空間では、どの分野の概念であるかは関係なく扱うことができる。
そのため、分野の垣根を越え、例えば、
哲学、数学、物理学、生物学、etc…
こうした様々な学問の概念も包括的に扱うことができる。どのような学問であれ諸々の概念の結び付きの上に成立していることを考えると、概念空間という考え方の重要性をご理解いただけると思う。
概念空間の考え方は ①哲学という分野の基礎付けや発展的な研究、 ②超学際(TD)的な関心の促進、 ③教育おける包括的かつ分野横断的な理解、 ④異なる背景・文化を持つ人々や集団同士の相互理解やコミュニケーション などに役立つ可能性があります。
概念グラフ|4つの基礎概念
以下では、【概念空間】という概念の場の中で思考するうえで必要になる基本的な概念を紹介します。
■1.概念点
【概念空間】では、概念を点で表現することにする。これを【概念点】と呼ぶ。
■2.概念(曲)軸
さらに、概念について十全に思考するために【概念軸】というものを設定する。ただし、我々がよく数学などで用いる真っ直ぐなものではなく、【概念曲軸】というものを用いる。
これは後に触れることになるが、曲がった軸(曲軸)を用いることで、多様な概念の関係性を記述し易くなるからである。因みに、【概念曲軸】には様々な種類があるが、扱う概念によってどのような軸を設定するかは変わる。
■3.関係線
概念の重要な特性の一つは、他なる言葉や概念と結びつくことによって意味規定がなされることである。例えば、「定義する」とは概念を他なる概念と結合することに他ならない。
【概念空間】の中では、物事の関係性を曲線で表現する。これを【概念関係線】(または単純に【関係線】)と呼ぶ。
■4.概念関係式
特定の概念同士が関係線によって結び付けられているとき、それを【概念関係式】で表現する。あるいは、物事の関係性について思考するために、【概念関係式】を用いて分析・解明をおこなう。
概念グラフ
■概念グラフ
【概念空間】では、上記の基礎概念をもとにしてグラフを描くことができ、これを【概念グラフ】と呼ぶ。これはかなり自由度の高い記述方法で、色々な応用の可能性がある。
■概念グラフの例
■概念グラフの例
概念空間と参照面
■【概念空間】と【参照面】
【概念空間】は【参照平面】と深い関係を持っている。
![](https://mabuchi-gainen.com/wp-content/uploads/cocoon-resources/blog-card-cache/4ca3e7991d8b81ca48d476cffa08818c.jpg)
【概念空間】はあらゆる概念が浮遊する空間であるため、【参照面】が概念の集合から構成されるものである以上、この概念の場の中に統合されることになる。
【概念空間】は【参照面】を包摂する、より上位の概念なのである。
裏返して言うと、【概念空間】は無数の概念が浮遊する空間なのだが、任意にそのどの部分を切り取っても【参照平面】として扱うことが可能になる。
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