こんにちは、馬渕です。
こちらのページでは、「学問的な概念の集合」の事例をご紹介します。
・・・
概念空間論では、しばしば概念の集合という枠組みを用いて、
哲学、数学、物理学、化学、生物学、統計学、認知科学、神経科学などなど、
学問的な概念の集合というものを考えます。
以下では、学問的な概念の集合の事例や、解釈のイメージをご紹介していきます。
また、超学際-トランスディシプリナリティー(transdisciplinary)と呼ばれる、
学問分野を横断しながら世界的な問題の解決に取り組もう、という考え方があるのですが、
今回ご紹介する参照平面を用いた学問的な概念の集合は、超学際の理論として使用することができます。
・・・
学問的な概念の集合とは?
概念空間論では、概念の集合というものを体系的に扱っていきます。
特に、「無限に多様な概念の集合」を考え、自由に使用できるのが、最大の特徴です。
この無限に多様な概念の集合に含まれる、最も典型的な概念として、学問的な概念を挙げることができます。
学問というのは、概念を基盤として成立していますよね。
どんな学問でも、概念は重要な役割を果たしていて、
概念を持たない学問というのを、私たちは一切考えることができないでしょう。
それほど、学問において概念は重要な役割を果たしています。
この世界に存在する様々な学問は、数え切れないほど多くの概念を含んでいます。
こうした学問上の概念の集合というものを考えることができます。
参照平面と学問的な概念の集合
概念空間論の体系の中で、最も重要な役割を果たすのは、参照平面という概念です。
参照平面は、概念の集合を自由に分類・グループ化する機能を持つ、新しい思考ツールです。
参照平面は、任意の概念を自由に分類・グループ化して表示することができるので、
学問的な概念の集合から、平面を構築することができます。
これを学問的参照平面と呼びます。
例えば、先ほどのリストにあったように、
哲学的参照平面…哲学の概念の集合から構成された参照平面
数学的参照平面…数学の概念のグループから構成された平面
物理学的参照平面…物理学の概念のグループから構成された平面
etc…
このように学問の概念の集合から、平面を構成できるのです。
もしよければこちらの動画をご覧になって下さい。
参照平面と学問的な概念の集合を、イメージしやすくなると思います。
以下は、学問的な概念の集合の一つの事例です。
概念の集合の事例(簡易)
哲学 -形而上学、存在論、認識論、観念論、唯物論、合理主義、経験主義、現象学etc..
(無知の知、存在/無、形相/質料、イデア、知覚論、実存、弁証法、プラグマティズム、スコラ哲学、エポケー、脱構築、主体性、アポリアetc…)
数学 -幾何学、代数学、解析学etc..
(無知の知、存在/無、形相/質料、イデア、知覚論、観念論、唯物論、合理主義、経験主義、実存、弁証法、現象学、プラグマティズム、スコラ哲学、エポケー、脱構築、主体性、アポリア)
論理学 -述語論理、命題論理、数理論理学etc..
(前提、帰結、推論、命題、真偽、肯定/否定、演算、真理値、論理式、帰納/演繹法、逆、裏、対偶、仮定、同値、包含、矛盾、誤謬、論理関数、量化子、命題変数etc…)
言語学 -音韻論、形態論、統語論、意味論、語用論etc..
(音素、形態素、語幹、接辞、文法、構文、語彙、形態、語法、音声、音韻、語彙意味、構造、名詞句、動詞句、文の要素、統語関係、語順、言語機能、言語変異、e)
心理学 -精神分析、行動主義、発達心理学etc..
(意識、無意識、思考、感情、学習、記憶、古典的条件付け、オペラント条件付け、エス/自我/超自我、認知地図、知覚の恒常性、パーソナリティ理論、自己実現、心の理論、強化スケジュール、)
認知科学 -
(知覚、注意、記憶、思考、言語、意思決定、学習、問題解決、スキーマ、認知バイアス、認知的不協和、認知発達、パターン認識、知識表現、認知モデル、認知処理etc…)
統計学 -ミクロ経済学、マクロ経済学、経済政策、経済理論
(神の見えざる手、需要曲線、供給曲線、価格の弾力性、限界効用、パレート効率、総需要、総供給、貯蓄率、資本の限界生産性、乗数効果、機会費用、比較優位、インフレーション、デフレーション、フィリップス曲線、ケインジアン経済学、新古典派経済学、再分配政策、ゲーム理論)
経済学 -ミクロ経済学、マクロ経済学、経済政策、経済理論
(神の見えざる手、需要曲線、供給曲線、価格の弾力性、限界効用、パレート効率、総需要、総供給、貯蓄率、資本の限界生産性、乗数効果、機会費用、比較優位、インフレーション、デフレーション、フィリップス曲線、ケインジアン経済学、新古典派経済学、再分配政策、ゲーム理論)
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物理学 -力学、電磁気学、熱力学、量子力学、相対性理論、標準模型etc…
(速度、質量、加速度、ニュートンの運動法則、万有引力の法則、マクスウェル方程式、熱力学第二法則、シュレーディンガー方程式、プランク定数、エントロピー、電子スピン、光量子、量子トンネル効果、パウリの排他原理、ボーアモデル、ヒッグス機構、超対称性、不確定性原理、etc…)
化学 – 無機化学、有機化学、物理化学、分析化学
(原子軌道、モル濃度、化学平衡、電気陰性度、共有結合、イオン結合、酸化還元反応、酸・塩基、ファンデルワールス力、水素結合、化学反応速度、触媒、電解質、同位体、結晶構造、分子軌道理論、ギブス自由エネルギー、エントロピー、ハイブリッド軌道、放射年代測定etc…)
生物学 -遺伝学、生態学、生理学、発生学
(細胞、遺伝子、DNA複製、RNA転写、タンパク質合成、細胞分裂、無性生殖、有性生殖、ミトコンドリア、葉緑体、免疫反応、共進化、自然選択、適応、遺伝子プール、ホメオスタシス、進化、形態形成、個体群動態、相互作用、食物連鎖etc…)
生理学
(細胞、組織、臓器、系統、ホルモン、神経伝達、心拍数、呼吸、血圧、体温、代謝、エネルギー、酸素供給、栄養素、体液バランス、筋肉収縮、神経系、内分泌系、循環系、消化系、etc…)
神経科学 -神経生理学、神経心理学、行動神経科学、認知神経科学
(ニューロン、グリア、神経伝達物質、シナプス、シナプス可塑性、受容体、活動電位、ドーパミン、セロトニン、グルタミン酸、GABA、ミエリン、大脳皮質、海馬、脳幹、皮質下核、視覚野、運動野、脳波etc…)
免疫学
(自然免疫、獲得免疫、抗原、抗体、免疫細胞、サイトカイン、補体、リンパ球、ナチュラルキラー細胞、B細胞、T細胞、マクロファージ、樹状細胞、自己免疫、免疫寛容、免疫応答、免疫記憶、抗原提示etc…)
遺伝子学
(DNA、RNA、遺伝子、コドン、発現、クロマチン、転写、翻訳、エピジェネティクス、ミューテーション(突然変異)、遺伝子多型、遺伝暗号、染色体、遺伝子組み換え、遺伝子編集、遺伝子型etc…)
地質学
(鉱物結晶構造、マグマ、地殻の構成、地層形成、層序学、地質年代、プレートテクトニクス、プレート境界、火山活動、火山弧、リフト谷、地殻変動、侵食作用、風化作用、堆積過程、鉱床形成、化石化、放射年代測定、造山運動、地震波etc…)
天文学
宇宙論、恒星天文学、銀河天文学、惑星科学
(ケプラーの法則、太陽系外惑星、恒星進化、ホワイトドワーフ、赤色巨星、超新星、惑星、銀河、銀河団、クェーサー、ブラックホール、ブラックホール、ダークマター、ビッグバン理論ビッグバン、膨張宇宙、暗黒物質、太陽風、ハッブル定数、宇宙の加速膨張、宇宙マイクロ波背景放射、重力レンズ効果、オーロラetc…)
学問の概念の集合を、観点の集合として考えてみる
【参照平面】には、主に4種の機能があります。
この第二の機能をもとにして、概念の集合から観点の集合、像の集合を構築することができます。
この観点の集合、像の集合という考え方は、学問的な概念の集合を深く理解するうえでとても重要です。
例えば、参照平面を視点や観点の集合として解釈した場合、
次のような参照平面を構成することができます。
概念の集合の事例(簡易)
メタ的/抽象的/具体的な視点
時間的/空間的/絶対的/相対的/量的/質的など
人称的/精神的/物質的/長期的/短期的/
例えば、「現代社会が抱える問題」というテーマについて考えるとき、
概念の集合の事例(簡易)
哲学 -形而上学、存在論、認識論、観念論、唯物論、合理主義、経験主義、現象学etc..
(無知の知、存在/無、形相/質料、イデア、知覚論、実存、弁証法、プラグマティズム、スコラ哲学、エポケー、脱構築、主体性、アポリアetc…)
数学 -幾何学、代数学、解析学etc..
(無知の知、存在/無、形相/質料、イデア、知覚論、観念論、唯物論、合理主義、経験主義、実存、弁証法、現象学、プラグマティズム、スコラ哲学、エポケー、脱構築、主体性、アポリア)
論理学 -述語論理、命題論理、数理論理学etc..
(前提、帰結、推論、命題、真偽、肯定/否定、演算、真理値、論理式、帰納/演繹法、逆、裏、対偶、仮定、同値、包含、矛盾、誤謬、論理関数、量化子、命題変数etc…)
言語学 -音韻論、形態論、統語論、意味論、語用論etc..
(音素、形態素、語幹、接辞、文法、構文、語彙、形態、語法、音声、音韻、語彙意味、構造、名詞句、動詞句、文の要素、統語関係、語順、言語機能、言語変異、e)
心理学 -精神分析、行動主義、発達心理学etc..
(意識、無意識、思考、感情、学習、記憶、古典的条件付け、オペラント条件付け、エス/自我/超自我、認知地図、知覚の恒常性、パーソナリティ理論、自己実現、心の理論、強化スケジュール、)
認知科学 -
(知覚、注意、記憶、思考、言語、意思決定、学習、問題解決、スキーマ、認知バイアス、認知的不協和、認知発達、パターン認識、知識表現、認知モデル、認知処理etc…)
統計学 -ミクロ経済学、マクロ経済学、経済政策、経済理論
(神の見えざる手、需要曲線、供給曲線、価格の弾力性、限界効用、パレート効率、総需要、総供給、貯蓄率、資本の限界生産性、乗数効果、機会費用、比較優位、インフレーション、デフレーション、フィリップス曲線、ケインジアン経済学、新古典派経済学、再分配政策、ゲーム理論)
経済学 -ミクロ経済学、マクロ経済学、経済政策、経済理論
(神の見えざる手、需要曲線、供給曲線、価格の弾力性、限界効用、パレート効率、総需要、総供給、貯蓄率、資本の限界生産性、乗数効果、機会費用、比較優位、インフレーション、デフレーション、フィリップス曲線、ケインジアン経済学、新古典派経済学、再分配政策、ゲーム理論)
—————————————————
物理学 -力学、電磁気学、熱力学、量子力学、相対性理論、標準模型etc…
(速度、質量、加速度、ニュートンの運動法則、万有引力の法則、マクスウェル方程式、熱力学第二法則、シュレーディンガー方程式、プランク定数、エントロピー、電子スピン、光量子、量子トンネル効果、パウリの排他原理、ボーアモデル、ヒッグス機構、超対称性、不確定性原理、etc…)
化学 – 無機化学、有機化学、物理化学、分析化学
(原子軌道、モル濃度、化学平衡、電気陰性度、共有結合、イオン結合、酸化還元反応、酸・塩基、ファンデルワールス力、水素結合、化学反応速度、触媒、電解質、同位体、結晶構造、分子軌道理論、ギブス自由エネルギー、エントロピー、ハイブリッド軌道、放射年代測定etc…)
生物学 -遺伝学、生態学、生理学、発生学
(細胞、遺伝子、DNA複製、RNA転写、タンパク質合成、細胞分裂、無性生殖、有性生殖、ミトコンドリア、葉緑体、免疫反応、共進化、自然選択、適応、遺伝子プール、ホメオスタシス、進化、形態形成、個体群動態、相互作用、食物連鎖etc…)
生理学
(細胞、組織、臓器、系統、ホルモン、神経伝達、心拍数、呼吸、血圧、体温、代謝、エネルギー、酸素供給、栄養素、体液バランス、筋肉収縮、神経系、内分泌系、循環系、消化系、etc…)
神経科学 -神経生理学、神経心理学、行動神経科学、認知神経科学
(ニューロン、グリア、神経伝達物質、シナプス、シナプス可塑性、受容体、活動電位、ドーパミン、セロトニン、グルタミン酸、GABA、ミエリン、大脳皮質、海馬、脳幹、皮質下核、視覚野、運動野、脳波etc…)
免疫学
(自然免疫、獲得免疫、抗原、抗体、免疫細胞、サイトカイン、補体、リンパ球、ナチュラルキラー細胞、B細胞、T細胞、マクロファージ、樹状細胞、自己免疫、免疫寛容、免疫応答、免疫記憶、抗原提示etc…)
遺伝子学
(DNA、RNA、遺伝子、コドン、発現、クロマチン、転写、翻訳、エピジェネティクス、ミューテーション(突然変異)、遺伝子多型、遺伝暗号、染色体、遺伝子組み換え、遺伝子編集、遺伝子型etc…)
地質学
(鉱物結晶構造、マグマ、地殻の構成、地層形成、層序学、地質年代、プレートテクトニクス、プレート境界、火山活動、火山弧、リフト谷、地殻変動、侵食作用、風化作用、堆積過程、鉱床形成、化石化、放射年代測定、造山運動、地震波etc…)
天文学
宇宙論、恒星天文学、銀河天文学、惑星科学
(ケプラーの法則、太陽系外惑星、恒星進化、ホワイトドワーフ、赤色巨星、超新星、惑星、銀河、銀河団、クェーサー、ブラックホール、ブラックホール、ダークマター、ビッグバン理論ビッグバン、膨張宇宙、暗黒物質、太陽風、ハッブル定数、宇宙の加速膨張、宇宙マイクロ波背景放射、重力レンズ効果、オーロラetc…)
このような様々な観点(パースペクティヴ)が考えられます。
こうしたパースペクティヴは、実際には、特定の「概念」によって表現されます。
そのため、以下の図のように、我々が直面する問題や考察したいテーマに対して無限に多様な「概念の集合」を想定し、思考を進めていこう、というのが基本的な発想です。
最後に
今回は、参照平面という、概念の集合を分類・グループ化する機能をもつ平面によって
学問的な概念の集合を考えることができる、という話をさせていただきました。
超学際-トランスディシプリナリティー(transdisciplinary)と呼ばれる、
学問分野を横断しながら世界的な問題の解決に取り組もう、という考え方があるのですが、
この概念空間論で使える参照平面と、学問的な概念の集合は、まさに超学際的な思考ツールとして使用してもらうために開発したものになります。
もしご興味持っていただけたら、講演・執筆などのご依頼を承りますので、気軽にご連絡ください。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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