うつ病が世界に存在する本当の理由

【心理・精神医学系】

 

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うつ病の結び目

 

精神医学がこの社会において大衆化されていくなか、「うつ(病)」という言葉は、幾つかの言葉と固い結び目を作ることになった。

 

脳、そして病気という言葉である。

 

うつは、脳の病気である。

 

医師たちのこの合言葉が普及する背景には、精神疾患を巨大な市場としている精神医療や製薬会社の巧みなマーケティングがあったと言われているが、

 

この結び目は、もはや誰にも解くことができないほど強固なものになってしまった。

 

もちろん、この方程式は全面的に間違っている訳ではない。うつ病の症状は、確かに「病的」な側面が多いからだ。

 

ところが、確かに病的なものではあるのだが、「うつ=脳の病気」という枠組みがすべてだと考えてしまうと、あまりにも多くのことが見落とされてしまう。

 

そのため、うつ病について、全く別の側面から光を当てる方法を紹介したい。

 

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うつ病の存在理由

 

脳や病気のような言葉とは、隔たった場所に置かれているにもかかわらず、いや、それゆえにこそ、

 

うつ病の真実の姿を見究めるために、最も重要な言葉(概念)がある。

 

それは、「存在理由」という言葉だ。

 

うつ病の存在理由。

 

うつ病について語られることが殆どないテーマだが、この概念をレンズとして用いると、これまでとは異なるうつ病の像が浮かび上がってくる。

 

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うつ病への問い

 

 

なぜ、この世界にうつ病は存在するのだろう?

 

 

この問いは、うつ病についての問いの中で、最も重要なものだと思う。

 

なぜ、人間を自死に至らしめるような病が、この世界に存在するのだろうか…?

 

以前に、私がはじめてうつ病を経験したとき、まず疑問に感じたのがこの点だった。

 

うつが私の中を完全に通り過ぎて、過去のものになったいまでも、考えは変わっていない。

 

うつ病のもつ本当の意味への理解を深めようとするなら、このうつ病の存在理由について考えることは、欠かせないと思う。

 

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うつ病と宇宙の知性的な設計(デザイン)

 

 

なぜ、この世界にうつ病は存在するのだろう?

なぜ、人間を自死に至らしめるような病が、この世界に存在するのだろう…?

 

この問いに答えを出すことは、容易ではない。

 

問いそのものが難しい訳ではないが、その背景にある意図を考える必要があるからだ。

 

だから、そもそもこの宇宙について、私たちがまだ認識できていない意図や設計(デザイン)があると認めない場合には、この問いに答えをだすことはできないだろう。

 

というのも、この宇宙には知性や設計(デザイン)などない、という立場をとる場合、うつ病について考える文脈では、

 

うつ病とは、ただ意味もなく人間が苦しむ病気として存在するものだ

 

こういう帰結しか導き出せないからだ。

 

※ここでお話しているのは、宇宙を支配する秩序(原理・法則)に知性を認めるかどうかという問題で、宗教的な意味での人格的な神の話ではないので、ご注意いただきたい。

 

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どちらの立場をとるかはもちろん個人の自由なのだが、私としては、

 

「宇宙には知性的な設計(デザイン)がある」

「うつ病には存在理由があり、人生において何か意味や理由のある出来事として起こる」

 

このように考えることをおすすめしたい。

 

この考え方のほうが知的な意味で謙虚であるし、生きている間に人生の本当の意味を知ることができる可能性が高まるからだ。

 

そして何より、人生を肯定することに繋がるだろう。

 

もしうつ病には存在理由などないと考えると、人生におけるうつ病の苦しみの意味を見出すことは難しくなってしまうと思う。

 

これは本当は、「うつ病の症状」に限った話ではなく、すべてのことに言える。

 

うつ病のきっかけや背景には、色々なものがある。

 

幼い頃の出来事、学校や会社での起きたこと、社会に適応できないこと、障がいを持っていること、家族との関係において経験すること、女性であるがゆえに経験すること、マイノリティーであること…。

 

こうしたすべての出来事に、隠れた意味や深遠な理由が存在することを、信じるかどうか。

 

これは客観的な事実がどうかというより、どちらを選択するかという「決断の問題」と言える。

 

自分の人生の意味を本気で知りたいか思うかどうか、どれほど時間が掛かろうとも学び続け、最後には自分の人生をいかなる留保も条件もなく肯定できるようになりたいか否かによって、答えが変わってくる。

 

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うつ病における意味の反転

 

 

なぜ、この世界にうつ病は存在するのだろう?

 

 

すべてが反転しているのだ、と考えると分かりやすいかもしれない。

 

すべてが反対なのだとしたら、自分という存在を責め立て、引き裂き、十字架にかけ裁いてしまう、この病にはどんな意味があるのだろうか?

 

人間を自ら死に向かわせる程苦しい病が存在することには、本当はどういう意味があるのだろうか?

 

この「反転」による考え方こそ、うつ病の存在理由を理解するうえで決定的に重要になる。

 

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うつ病がこの世界に存在する理由はある。

 

あなたが、うつ病を経験している理由も、存在する。

 

しかもそれは、決して悪い意味ではない。

 

うつ病は、あなたを苦しめるために存在する訳ではないのだ。

 

確かに、うつが苦しいものであることは間違いない。

 

だが、私たちにはすぐに認識することができないにも関わらず、それでも確実に存在するもっと深い理由から、人生における「うつ病」という現象が起きている。

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