こんにちは、馬渕です。
今日は「認知バイアス」についてお話ししたいと思います。
これまでに認知バイアスについて学んだことがある方は、恐らく
「どうすれば認知バイアスは回避できるだろうか?」
と考えたことがあるのではないでしょうか。
今回は、この問題を原理的なレベルから解消するための概念を紹介します。
動画解説
動画を撮ってみたので良ければご覧ください。
認知バイアスの分類
認知バイアスは、次のような人間の認知を構成する様々な機能に付随して生じ、様々なシーンに関係します。例えば、
注意機構に関するバイアス、
知覚認識におけるバイアス、
感情・記憶のバイアス、
意思決定のバイアス、
対人関係のバイアス、
社会的バイアス、
論理的推論におけるバイアス、
経験則・信念から生じるバイアス、
統計的判断におけるバイアス、、、
そして数百種類ものパターンが知られています。
確証バイアス、生存者バイアス、正常性バイアス、現状維持バイアス、内集団バイアス、保守性バイアス、モラル信任効果、計画錯誤、、、
認知バイアスの共通特徴とは?
こうした認知バイアスすべてに共通する特徴があるとすれば、それは何でしょうか。
ここで「認知的自由度」という尺度を設定して考えてみましょう。
認知的な自由度が高い状態とは、物事への多様な考え方・パースペクティヴを切り替えながら考えられる状態です。
一方で、認知的な自由度が低い状態とは、ある問題・テーマに対する考え方や観点(パースペクティヴ)を切り替えられない、という状態です。
あらゆる認知バイアスに共通する特性・特徴として考えられるのが、
認知的な自由度が低い状態、すなわち「認知的な固定化状態」です。
認知バイアスとは、我々の思考や認知が自由にパースペクティヴを切り替えられないことに関係するのです。
認知バイアスを回避する方法
では、認知バイアスに対して原理的なレベルから対処するには、どうしたらよいでしょうか。
認知バイアスとは、人間の認知的自由度が低い状態=認知的な固定化状態に伴うものであるため、原理的には、物事に対して多様な考え方・パースペクティヴを自由に切り替えられれば回避できると考えられます。
そこで重要になるのが、考え方・パースペクティヴを多数化するということです。
もしわれわれが持つ考え方・パースペクティヴが一つしかなければ、他に可能性としてあり得る多様な考え方・パースペクティヴに移行することができず、固定化状態に陥ってしまうからです。
あらゆる事物に対して、多様な考え方・パースペクティヴを予め用意することで、認知的な自由度を高めることができると考えられます。
【参照平面】
動画では、【参照平面】という概念を紹介しています。
この【参照平面】は、「無限に多様な概念&パースペクティヴの集合」というコンセプトを核に据えた概念です。
この【参照平面】を、認知バイアスを回避するうえで役立つあらゆるパースペクティヴの集合から構成することができます。
例えば、「確証バイアス」という認知バイアスを回避するためには、自分の主張や信念や考えすら問い返すことができるような、「懐疑的なパースペクティヴの集合」を考え、そこから【参照平面】を構成します。
また「生存者バイアス」という認知バイアスを回避したい場合であれば、「失敗の事例」も考慮する必要がありますが、
【参照平面】を「生存者」と「脱落者」の両者に等しく光を当てるパースペクティヴの集合から構成することができます。
認知バイアスを原理的なレベルで回避するためには、
このように「無限に多様な考え方・パースペクティヴの集合」を想定し、そのうえで問題解決に取り組むことが重要だと考えられます。
【参照平面】とは、「無限に多様なパースペクティヴの集合」から構成された平面のことであるため、
この概念を用いる限り、確証バイアスのような自分の主観的・固定的な考えを疑い、相対化せざるを得なくなるのです。
他のあらゆる認知バイアスでも同様のことが言えます。
この概念を用いることで、原理的なレベルから認知バイアスに対処するための準備を整えられるでしょう。
※詳細はこちら
![](https://mabuchi-gainen.com/wp-content/uploads/2023/07/【参照平面】-160x90.jpg)
視覚的な事例
もう一つ、今度は視覚的な事例を挙げてみます。
突然ですが、次の絵は何を描いているように見えるでしょうか。
下にスクロールする前に考えてみて下さい。
・・・
・・
素朴に考えれば、「正円」のように見えます。
そして、実際にそれは間違いではありません。
しかし、多くの方が単なる「円」とは異なる可能性を思い浮かべると思います。
ここでもし、私たちが「円」以外の可能性を考えられない場合、これが認知バイアスになる可能性があります。
◆認知バイアスに陥った状態
例えば、この絵が「円」に見えるのは、一部のパースペクティヴから捉えた場合に過ぎず、実際には立体の「円柱」であることがあるでしょう。
これは簡単な事例かもしれませんが、実際に私たちはしばしば「これは円に違いない」という考え方と同じ形式の思い込みを持ち、認知バイアスに陥ることがあります。
では、どうすれば認知バイアスを回避できるでしょうか。
既知のパースペクティヴと未知のパースペクティヴ
【参照平面】という概念の核となるのは、「無限に多様なパースペクティヴの集合」という考え方でした。
そして、この【参照平面】の枠組みでは、
「無限に多様なパースペクティヴの集合」を、
既知のパースペクティヴと未知のパースペクティヴに分類します。
これは極めて重要なポイントです。
先程の事例でいえば、平面の「円」が見えているのが
既知のパースペクティヴです。
※あるいは、「この視点からは、平面図形の円が見える」という考え方。
それに対して、「円」を別の角度から捉えて、「円柱」の像を浮かび上がらせるのが
未知のパースペクティヴです。
※あるいは、「まだ確定はできないけれど、立体の円柱かもしれない」という考え方。
このように【参照平面】という概念では、
「無限に多様なパースペクティヴの集合」を考えたうえで、
既知のパースペクティヴを整理・分類したうえで
さらに未知のパースペクティヴを想定することができるのです。
最後に
【参照平面】という概念は、あらゆる認知バイアスを回避するうえで重要な概念だと考えられます。
少しでもご参考になればうれしいです。
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