充足理由律について

【西洋哲学】

 

こんにちは、馬渕です。

 

今回は、充足理由律という概念についてお話ししたいと思います。

 

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動画

 

動画を作成したので、よければご覧下さい。

 

 

目次

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00:00 計画錯誤とは?目標達成に必要な時間を見誤り、楽観視してしまう認知バイアス 01:21 充足理由律という概念の紹介~

17世紀ドイツの哲学者G.W.ライプニッツの話から、生きづらさの克服の話まで

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内容としては、こんな話をしています。

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1.ライプニッツの概念として、充足理由律というものがある

2.充足理由律とは、「すべての出来事には、理由がある」という原理

3.人生に当て嵌めて考えると、「人生のあらゆる出来事には、実は隠れた理由が存在する」という法則として読める

4.生きづらさを克服するには、人生でどれほど苦しい経験、試練・困難・不条理を経験したとしても、今すぐには分からなかったとしても「自分の人生の隠れた意味や理由を信じる」ということが必要で、充足理由律はそのために役立つ概念だ

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G.W.ライプニッツの話

 

17世紀ドイツの哲学者に、G.W.ライプニッツという人物がいます。

 

彼は、私が最も尊敬している哲学者の一人です。

 

ライプニッツは物事の原理・法則を重んじる哲学者で、この宇宙に関する幾つかの根本原理を絡み合わせて思索をすることで、形而上学的な世界観を作り上げました。

 

彼の晩年の思想体系はモナドロジーと呼ばれています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その彼が、最も重要視していたのが、この【充足理由律】という原理です。

 

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充足理由律とはなにか

 

【充足理由律】とは、このような原理・法則です。

 

「すべての物事(出来事)には理由がある」

「理由なしに物事は起こらない」

 

充足理由律は、この宇宙における最も深遠な原理・法則を定式化したものです。

 

因みに、この原理は形而上学的なものですが、現代科学が前提としている因果律とも完全に整合性がとれています。

 

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「すべての出来事には理由がある」

 

ところが、ライプニッツは著作の中で面白いことを言っています。

 

「ただし、人間がそのすべての理由を知ることは叶わないだろう」

 

ということを言っているのです。

 

そう、すべての出来事には理由があるのですが、

 

人間には、そのすべての理由を認識できるとは限らないのです。

 

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※この概念は、『形而上学叙説』『モナドロジー』『ライプニッツ・アルノ—書簡』などライプニッツの幾つかの形而上学的な著作のなかで描かれています。

 

 

【充足理由律】は、ライプニッツにとってただの法則ではなく、神の知性すら従う「原理の中の原理」でした。

 

神学的な著作の中で、ライプニッツは、神は以下の3つの能力を備えていると言っています。

 

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①知性

②意志

③力

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意志とは、決定を下す能力です。

 

例えば、この世界を創造するにあたりどのような世界を選ぶか、という命題は、神にとって意志の問題です。

 

このような「選び」は、理由もなく無差別に行われるのではなく知性の規則に従うと述べています。

 

つまり、神の選び(選択)にはすべて「理由」があるということです。

 

※ライプニッツは可能的世界論という考え方を持っていました。

 

もし「理由なしに」ランダムに世界を選び創造するのだとしたら、神は、権力を恣にする暴君となんら変わらなくなってしまう、と。

 

もし神がそのような存在であるなら、神の徳や正義や善性は消え失せてしまう。

 

それは無限の完全性をもつ神にふさわしくないとライプニッツは言います。

 

これはまさにその通りでしょう。

 

この考え方は、ライプニッツの『弁神論』において重要な役割を果たします。

 

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人生と充足理由律

 

改めて、充足理由律とは、このような原理でした。

 

「すべての物事(出来事)には理由がある」

「理由なしに物事は起こらない」

 

この概念は、実は人生における重要な原理としても読むことができます。

 

すべての出来事には理由があるのですから、

 

私たちにとっては、「人生のあらゆる出来事には、理由がある」と解釈することができるのです。

 

あなたは、あなたの人生のあらゆる出来事には理由がある、ということを深く信じられますか?

 

若い頃、私はライプニッツの著作でこの概念を学んだとき、

 

「いまの自分には本当か分からないが、恐らく、この原理は正しいだろう」

 

直観的にこのように思いました。

 

そして、私は自分の人生で起きたあらゆる出来事の理由を知ろうと努めるようになりました。

 

つまり、私は充足理由律を信じたのですね。

 

もちろん無思慮にただ信じた(信仰した)のではなく、この原理を大事に抱えながら、人生に本気で向き合うようにしたのです。

 

そして、今ではこの原理は完全に正しいものだ、という確信を持っています。

 

私の人生には、すぐにはその意味が理解できないもの、認識できない出来事が多く起こりました。

 

しかし、長い時間をかけ真剣に向き合い続けた結果、すべての経験に隠れた理由が存在していたことがはっきりとわかったのです。

 

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最後に――生きづらさと充足理由律

 

充足理由律。

 

私はこの概念をとても大事にしています。

 

この概念は、私に大きな力を与えてくれるからです。

 

この概念のおかげで、私は、過去に抱えていた生きづらさを完全に克服するまでのとても永い時間を、耐えることができました。

 

おかげで、いまはとても元気に、毎日、自分の人生の目的(ミッション)のために生きることができています。

 

実は、人生で起こるあらゆる出来事は、どれほど困難なものであろうと、その人に固有の目的(ミッション)に繋がっています。

 

もし、これを読んでくれているあなたが、いま生きづらさを抱えていて苦しいと感じていたら、

 

ぜひあなたの人生を信じ続けてほしいと思います。

 

人生でどれほど大きな試練・困難・不条理を経験したとしても、

 

打ちのめされてしまったとしても、

 

すぐには理解したり明らかにできないかもしれないけれど、

 

それでもあなたの人生のすべての出来事には隠れた「理由」が存在するからです。

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