G.W.ライプニッツという17世紀ドイツの哲学者がいます。
彼は哲学を含む様々な分野で偉大な業績を残しましたが、アイザック・ニュートンと同時期に微積分の理論を構築した数学者でもあります。
彼は「曲線」というものに並々ならぬ関心を持っていました。
そのライプニッツの忘れ難い言葉に次のようなものがあります。
「絡み合う曲線なしに、直線はありえない」
直線と曲線の関係
曲線には、線の曲がり具合を表す「曲率」という概念があります。
ある曲線の「曲率が0」である場合、それは直線と見做すことができます。
つまり、直線とは曲線の特殊なケース、一つのパターンに過ぎないのですね。
曲率というのは、曲線について考察するうえで可能な沢山の切り口の一つ過ぎませんが、
直線とは曲線の一部であるということは色々な観点から正しいと言えるようです。
曲線に満ちた世界
自然界を見渡してみれば、無限に多くの曲線は見出されるものの直線は殆ど見当たらないことに気付きます。
電子の軌道、惑星の運行、
たゆたう波、海沿いの湾曲、
地層の褶曲、動物の体毛、
植物の葉脈、樹木の年輪、
鳥類の飛行の軌跡、蜜蜂のダンスetc…
至る所で曲線が見出されます。
我々の身体も同様であり、
身体の輪郭、脳に走る溝、
顔に刻まれた皺、手の平の線、
動脈の流れ、背骨や髪の毛のうねり、、
これらはまさに曲線に他なりません。
※因みに、これらはすべて「襞(ひだ)」であるとも言えます。
曲線的な人生について
ライプニッツは私が敬愛する哲学者の一人で、数年程、彼の哲学を学ぶことに取り組んでいるのですが、
彼の曲線に満ちた襞の世界に触れているとき、同時に自分の人生についても振り返ざるをえませんでした。
そのとき、私の人生に見出されたのはあまりに多くの曲線であって、直線は一つも存在しませんでした。
これまで数え切れない程多くの失敗、挫折、遠回りを経てきましたが
こうした目を背けたくなるような幾つもの紆余曲折こそが、人生を構成していたのです。
そのため、これまで到底直線的には生きられなかった私は、このように感じています。
「世界は曲線でできているがゆえに、曲線のない人生はありえない…」
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