このページでは、【未概念法】という思考の方法論についてご紹介します。
※「みがいねんほう」と読みます。
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現在、私がメインで使用している思考方法は、大きく2つあります。
一つは、参照平面という概念を使うものです。
この概念を使うときは、「考え方の集合」を考えることが多いです。
もう一つが、この未概念法という方法論です。
未概念法は、かなり抽象度が高く、使いこなすことが難しいのですが、あらゆる問題解決シーンにおいて、きわめて強力な効果を発揮します。
実際に、私自身もこれまでに、未概念法を応用することで、様々な問題を解決することができました。
ここでは、まず未概念法の基本的な原理・考え方・メカニズムを解説させていただきます。
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未概念法とは何か?
【未概念法】とは、「未概念」という特殊な種類の概念を用いて、新しい概念(群)を大量に創造することによって、
連続的に新しい認識(気付き・学び・発見・洞察など)を獲得するための方法論です。
私たちは、例えば、ミステリー小説の犯人を推理したり、
幾何学の証明問題を解くときのように、何らかの問題解決に取り組んでいるとき、
「…なるほど」「…分かった!」「…そういうことだったのか!」
このようにある種の驚きや閃きを伴う、認識の変化を体験することがありますが
この未概念法という方法論は、このような認識の変化を、意図的に、かつ極めて高い確率で連続的に引き起こすためのアプローチなのです。
いかにして、そんなことが可能になるのか?
この問題については、以下の説明を何度かお読み頂ければと思います。
未概念法は、これまでにないまったく新しい哲学的な問題解決の方法論・アプローチで、
新しい概念を連続的に創造することによって、問題解決に至る可能性を限りなく引き上げ、近似的に新しい認識を獲得していこうとするものです。
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この方法論を理解していただくためには、まず【K領域/U領域】という用語に慣れてもらう必要があるので、まずこの用語について紹介させて下さい。
K領域/U領域とは
【K領域】(Known area)とは、既知の領域を意味します。
ここには、既存の知識・情報・知覚・理解・経験・概念・考え方・アイディアなどの認識が含まれます。
既に知っていること、分かっていること、気付いていること、理解できていること、考えたことがあること、経験したことがあること、認識できていること、、、
こうしたものすべてが含まれる領域です。
【U領域】(Unknown area)とは、
未知の領域を意味します。
ここには、未知の知識・情報・知覚・理解・経験・概念・考え方・アイディアなどの認識が含まれます。
未だ知らないこと、分からないこと、気付いていないこと、理解できていないこと、全く考えたことがないこと、経験したことがないこと、認識できていないこと、、、
こうしたものすべてが含まれる領域です。
このように自分がまだ得られていない「新しい認識」を含む領域です。
※詳細はこちら
問題解決の答えは、U領域に眠っている
このK領域/U領域の区分を用いる最大のメリットは、問題解決の方法を、図式的に捉えることができることです。
【U領域】とは「未知の領域」のことであり、我々が未だ「認識できていないもの」がすべて含まれる領域です。
※例えば、ミステリ小説を読み始めた直後は、「犯人はⅩである」という認識は、U領域(未知の領域)に含まれます。また人類にとって、数学の未解決問題を解くアプローチは、U領域に含まれます。
この【U領域】という概念を使うと、あらゆる複雑な問題解決の仕組みを、次のようにまとめて捉えることができます。
①すべての問題の答えは、U領域(未知の領域)のなかに存在する。
②そのため、あとはその問題の解決方法(答え)がU領域のどこに存在するかを解明すればいい
このように、あらゆる問題解決の仕組みを統合したうえで、極めてシンプルに構造化できる訳ですね。
問題解決シーンにおいて、U領域には、その問題を解決するための適切な概念・考え方・アプローチ等が含まれます。
つまり、問題解決において我々が求める「答え」というのは、U領域にこそ眠っていると言えるのです。
※このスライドの赤い楕円が、問題の答えが存在する地点(ポイント)です。
このように、U領域にすべての答えがあるとするならば、
残された問題とは、U領域を自由に踏破する方法を見つけることであり、
U領域のどの地点(ポイント)に答えが存在するのかを導き出せばいい、ということになります。
これが、未概念法というアプローチの最初の大まかなイメージです。
U領域に光を当て、新しい認識を獲得するには?
K領域/U領域という区分について、改めて振り返ってみましょう。
この2つのエリアは決定的に異なる点があります。
K領域(既知の領域)とは、既に概念が十分に揃っていることにより、ある程度のことが認識できているエリアです。
U領域(未知の領域)とは、未だ概念が存在せず、不足しているために、何も全く認識できていないエリアです。
K領域/U領域の最大の違いは、概念の量であり、概念の有無であるといえます。
【U領域】は、問題解決に取り組む思考主体にとって、概念が不足しているエリアなのです。
これを概念の不足状態と言います。
もう少し直感的なイメージで置き換えると、
【K領域】は、既に認識できていることによって構成され、光によって照らされた明るい領域(ライトエリア)であり、
【U領域】は(その認識主体にとって)未だ認識できていないことを含む領域であるため、まだ光によって照らされておらず、完全な暗がりの中にある領域(ダークエリア)であると言えます。
この暗く見通しがつかない領域には、未だ獲得されていない新しい認識が無限に含まれています。
問題解決のために、この【U領域】を探索する過程で、新しい認識――気づき・学び・発見・洞察を得ることが可能なのです。
【U領域】に含まれる新しい認識を獲得するには、新しい概念(パースペクティヴ)がどうしても必要になります。
というのも、新しい概念こそが、U領域(未知の領域)に光を当て、新しい認識を与えてくれるものだからです。
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【U領域】(未知の領域)とは、我々にとって
概念が不足して思考することができない領域であるため、そのままの状態では踏破することができないエリアで、
だからこそ、U領域を照らすような新しい概念が必要になります。
新しい概念を獲得すると、人間はそれを新しい観点(パースペクティヴ)として用いることで、新しい認識を獲得することができます。
そこで【未概念法】という方法論では、【未概念】という新しい考え方を用います。
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【未概念】とは何か
【未概念】という名称には、少なくとも2つの意味が重ね合わせられています。
①未だ完成した概念ではないこと
未知の概念の素材・材料であること。
②未知の領域を照らす新しい概念であること
U領域(未知の領域)を照らす新しい概念であること。
【未概念】とは、新しい概念を創造するための素材となる概念のことであり、また未知の領域を照らす新しい概念でもあります。
※①未だ完成した概念ではなく、②新しい未知の概念である、ということから、未概念と命名しました。
結局のところ、
【未概念】とは、概念の過渡的な生成過程の状態全体
(常に変化の途上にある概念)
を意味しています。
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【未概念法】考え方の手順
未概念法は、大きく4つの手順で思考を進めていきます。
1.未概念群の散布
2.新概念の創造
3.新パラダイムの構築
4.新しい認識の獲得
ステップ1.未概念の散布
第一の段階は,未概念の散布です。
この段階では、認識主体にとってのU領域(未知の領域)に未概念群を散りばめ、新しい概念を増やすための仕掛けを施します。
例えば、次のような未概念群を用意し、U領域(未知の領域)に散りばめます。
α量、β性、γ化、δ系,ε度,ζ法,η的,θ層,ι分類,κ構造,λ順序,μ関係,ν領域,ξ部分,ο過程,π前提,ρ分類,σ条件,τ状況,υ接続,φ配分,χ分割.
↓ ↓ ↓
ステップ2.新しい概念の創造
第2の段階では、【未概念】をもとに新しい概念を大量に創造します。
α量、β性、γ化、δ系,ε度,ζ法,η的,θ層,ι分類,κ構造,λ順序,μ関係,ν領域,ξ部分,ο過程,π前提,ρ分類,σ条件,τ状況,υ接続,φ配分,χ分割.
このように様々な未完成の概念を素材として用意したうえで,考察したいテーマ・問題の文脈に合わせ,新しい概念群の作成を目指します。
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ステップ3.新しい枠組み(パラダイム)の構築
【未概念法】では、基本的な方向性として、自分が考察したい問題に対する新しい考え方の枠組み(モデル、パラダイム)を構築することを目指します。
新しい概念が揃うと、それらは相互に結び付き、やがて新しい考え方の枠組み(パラダイム)が構築されることになります。
このようにして、連続的な概念の創造と、新しい枠組みの構築を続けることによって、問題解決を完遂する可能性を高め、近似的に、解(答え)に近付いていきます。
ステップ4.新しい認識の獲得
第4のステップでは、新しい概念群を用いて、新しい認識を獲得します。
これまでのステップで必要かつ十分な量の概念が手元に揃っていれば、新しい認識が得られることになります。
こうして【U領域】は【K領域】に置き換えられていくことになります。
↓ ↓ ↓
最後に
【未概念法】とは、未概念という特殊な概念群を用いて、
連続的に新しい認識(気付き・学び・発見・洞察など)を獲得するための方法論であり
【U領域】(未知の領域)を【K領域】(既知の領域)へと塗り替えるための方法論です。
この思考方法を用いることで、問題解決の成功確率を限りなく引き上げることができます。
今回は、基本的な方法・原理・メカニズムをお話ししました。
この思考法は非常に多様な応用パターンが考えられるため、また別の記事で紹介していきます。
少しでもご参考になればうれしいです。
未概念法は、当ブログの【思考法講座Ⅱ】で学ぶことができます。
また、特に法人・団体様向けに概念の使い方を紹介するサービスもありますので、特に教育関係者の方、問題解決というテーマに関心があるなどはご連絡ください。
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