こんにちは、馬渕です。
ここでは【分岐系】という概念の概要と活用方法をご紹介したいと思います。
・・・
分岐系とは何か?
分岐系とは、分岐図を思い描けるようなあらゆるものを意味します。
この概念は、この定義だけ見ると抽象的で分かり難いのですが、実際は直観的に理解しやすい概念です。
まず視覚的なイメージはこんな感じです。
(※スライドの左下のイメージ図をご覧ください。)
分岐系は、このように物事の無数の線(分岐パターン)が動的に発散していく、そのプロセスや系全体を意味する概念です。
分岐系の種類と事例
分岐系の典型的な事例を挙げてみたいと思います。
1.サイコロを投げる(確率的分岐)
ふつうの賽子を投げると、1~6までの目が出ますが、これは複数の分岐パターンが考えられる(分岐図を思い描ける)出来事なので、分岐系です。
これは確率的な分岐の事例ですね。
2.言葉の意味(意味上分岐)
様々な意味を持つ言葉(多義語)もまた、複数の意味のパターンによって分岐図を描くことができるので、分岐系です。
こんな風に、とにかく複数の分岐パターンを考えられるものを、分岐系と呼びます。
3.思考上の分岐
ある会社が、自社の商品を売り利益を最大化するために、プランAという選択肢を持っていたとします。
この会社がプランAを実行すると判断するか否かは、分岐系です。
また、ある数学の問題を解くとき、幾つかの解法パターンが考えられたとして、そのどちらを選択するか、というのも分岐系です。
このように、私たちが何らかの問題解決のために思考するシーンでも様々な分岐が考えられるので、これも分岐系として考えられます。
4.世界の在り方(形而上学的な分岐)
この世界(宇宙)は、現にある通りの在り方ではない形で存在することも考えることができます。
例えば、現代の人類が理解しているような物理法則とは異なる秩序が存在していた可能性があります。
つまり、この宇宙の在り方というのも、人間の思考上では分岐系です。
このように、この概念は、哲学的なテーマの考察でも使用することができます。
分岐の種類
ここまでの内容で、大体のイメージを掴んで頂けたと思いますが、もしかすると「あまり重要な概念ではないのではないか」と思われるかもしれません。
しかし、この分岐系という概念は、例えば単に確率的な事象を捉えるための概念ではないですし、もっと重要で役立つものなので、是非このまま続きを読んでみて下さい。
・・・
分岐系では、先程の事例で登場したもの以外にも、様々な種類の分岐を考えます。
例えば、賽子の事例を考えてみると、こんな分岐の種類が考えられます。
①先行分岐/後行分岐
よくある普通の賽子を投げると、「1~6までの数字の目が出る」という分岐パターンが考えられますが、これに対して、そもそも「サイコロを投げる/投げない」という分岐が考えられます。
「賽子を投げる/投げない」という分岐は、より先に起こる出来事なので、この場合「先行分岐」であり、「1~6までの数字の目が出る」は後行分岐です。
②メタ分岐
分岐系では、こういう具体的な分岐以外にも、様々な分岐を考えます。
「賽子を投げる/投げない」➡「1~6までの数字の目が出る」というような分岐に対して、そもそも、「サイコロが存在する/存在しない」という区別も考えられますよね。
こうしたメタ的な分岐も、分岐系の中に含まれるものと考えます。
分岐の分類方法
分岐系という概念では、あらゆる分岐を既知の分岐/未知の分岐という2つのグループに分類します。
この分類は、この概念を役立つものにするために非常に重要なポイントです。
既知の分岐(K分岐)
既に認識できている、気付くことができている、把握できている、知覚で来ている、想像できている、予測できている、思考できているような分岐パターンをK分岐(Known divergence)と言います。
未知の分岐(U分岐)
未だ認識できていない、気付くことができていない、把握できていない、知覚できていない、想像できていない、予測できていない、思考できていないような分岐パターンを、U分岐(Unknown divergence)と言います。
・・・
分岐系の意義
この分岐系という概念を理解するうえで最大のポイントは、2つあります。
ポイント①無数の線(分岐パターン)が発散する様子をイメージすること
繰り返しになりますが、分岐系という概念は、樹木が枝葉を伸ばすように、物事について考え得る無数の線(分岐パターン)が動的に派生するプロセスやその分岐全体を意味します。
ポイント②既知の分岐と未知の分岐の区分
第二のポイントは、既知の分岐(K分岐)と未知の分岐(U分岐)という分類を使うことです。
この分類は、誰にとっての既知の分岐/未知の分岐か、という点を考えて使う必要があります。
・・・
ここまでで、この概念の基本的な考え方を整理できたので、これから実践的な活用方法をご紹介します。
分岐系の応用方法
この概念が最も威力を発揮するのは、これからの未来に向けての計画(プランニング)を立てたり、目標達成のための戦略を練る時です。
未来のことというのは、私たちにとって完全に予測ができる訳ではないため、基本的には「未知の領域」(U領域)に属するものと言えます。
ただ、未来の出来事について、「予知」することはできないまでも、起こり得る可能性のパターンを考えてシミュレーションを行うことは十分に可能ですよね。
この分岐系という概念は、こうした未来に向けての計画・戦略作りや、目標達成のために詳細なシミュレーションをするシーンで非常に役立つのです。
・・・
分岐系としての人生
ここまでお読み頂いた方は、既に「なるほど、私の人生(あなたの人生)も分岐系ということか」とお気付きかもしれません。
まさに、その通りです。
私たちの人生には、決定論的な立場をとらない限り、無数の出来事の線(分岐パターン)が存在し、発散しているものと考えられます。
人生を分岐系として捉えるときに大事なポイントは、やはり既知の分岐と未知の分岐があることを理解しておくことです。
現時点で、あなたが十分な知識や情報を持ち、詳細にイメージできる分岐もあるのですが(K分岐)、まだ十分な知識・情報がなく認識できていない分岐(U分岐)も必ずあります。
そして、あなたの認識の外側にある分岐(U分岐)は、無数に存在するのです。
このことは、気付くことが難しいだけで、人生には大きな可能性があることを意味しています。
・・・
私は目標達成のための計画を立てるとき、必ずこの概念を活用するのですが、その最大の理由は、私にとっての人生における未知の分岐(U分岐)を特定、詳細に把握することができれば、人生の可能性をどんどん拡大できるからです。
私たち人間は、しばしば自分の持つ思い込みによって、思考を狭められてしまいます。
いまの自分が認識できる範囲内で物事を決めつけてしまい、自分の可能性を拡大することができなかったり、変化を恐れ成長する機会を失うことが非常に多くあります。
でも私たちには、認識することが難しいとしても、常に無数の選択肢があるはずです。
ただ、それもやはり、そもそも認識できなければ、(その人にとって)存在しないのと同じになってしまいます。
だからこそ、この分岐系の概念には価値があります。
自分の人生の新しい可能性が最初からハッキリと見えることは殆どないでしょうし、新しいルートが見つかっても、それをすぐに受け入れることは難しいかもしれません。
しかし、人生において常に自分が想像すらしていなかった新しい可能性が存在することを「想定する」ことは可能でしょう。
この分岐系という概念は、自分にとっての新しい人生の可能性や選択肢(分岐パターン)があることをまず認識するうえで、助けになるのです。
・・・
最後に
分岐系は、物事の多様な線(出来事)の発散、動的な分岐パターンの集合を捉えるための概念です。
この概念の基本的な考えを掴んで頂けたら、今度はぜひ、あなたの人生が、一体どのような分岐系になっているかを実際にリアルに考えてみて欲しいと思います。
この分岐系の全体像を把握する中で、あなたにとっての最高に充実した人生を送るために、一体どのようなU分岐が存在するのか、ということを特定することで、人生を大きく変えることができると思います。
少しでもご参考になれば嬉しいです。
コメント