【認識表現モデル】(思い込みモデル)α稿

 

 

思考の不自由さ&思い込み/信念/バイアス/パラダイム

 

■認識表現モデル(動と静、動的モデルと静的モデル、ダイナミズムとスタティック)

認識というものは、一般に動的な性質と静的な性質の両方を併せ持つと考えてよい。

様々な学習・経験を通じて、あるいは問題解決のプロセスによって、認識は変容しうる。

この意味においては、認識にはダイナミズムがあると考えられるだろう。

しかし、認識には、既存の秩序と安定を保ち、新しい変化に抵抗すべく、構造を固定化するスタティックな側面もある。

認識の静的な性質として現れるのが、思い込み・信念・認知バイアス・パラダイムのような事象である。

認識表現モデルは、この認識の両性質を記述/表現できるよう、動的モデルとしても静的モデルとしても用いることができる。ただし、これは2つの異なるモデルなのではなく、動と静のどちらを側面に光を当て強調するかの違いでしかない。

 

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⓪思い込みのモデル化

①認識表現モデルにおける“隠れた因子”

②思い込みの影響/支配の二重性➡確証バイアス/保守性バイアス

③思い込みを疑うことの価値

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■思い込み――隠れた因子としての

思い込みは、(隠れた因子として)思考・認識・問題解決のプロセスを支配する。しかし、それは明示的にではなく暗黙的な方法によってである。

 

第一章において、思考の自由さは次のように定義された。

【表定義】思考の自由さとは、①認識領域における②遷移度/明瞭度の変化を通じて、⓪自覚的に新しい③認識の変容を引き起こしうる思考の状態および能力のことである。

【裏定義】自由な思考とは、隠れた因子としてのあらゆる思い込みから解き放たれた思考である。

 

自由な思考とは、思い込みに囚われない思考であり、認識領域において狙い通りに革新的な出来事を引き起こすことができる思考である。この定義は思考・認識・問題解決プロセスのモデルに基づくものである。

第3章において認識表現モデルの部分として遷移度/明瞭度の機構を提示した。このモデルには―――認識の変容モデル、あるいは問題解決のプロセスモデル―――隠れた因子として思い込みが組み込まれている。それゆえ、これは思い込みのモデルでもある訳だ。

 

思い込みの諸性質

このモデルにおいて暗黙的に示されている思い込みの性質は、次のようにまとめられる。

⓪思い込みは、基本的に自覚することができない(非自覚性)

①思い込みは、遷移度/明瞭度の変化に抵抗する(抵抗性)

②思い込みは、認識の変容の機会を奪う・制限する(※変化の幅が一定の範囲内に維持される)

遷移度/明瞭度の変化が起こらないことは、幾つかのパターンで捉えてほしい。

認識領域上における、様々な要素の分布が変化せず、また認識領域の照度の変化も生じないことを意味する。

概念の集合を重視するならば、これは概念空間が固定化されることを意味する。

パースペクティヴを重視するならば、視点や観点の切り替えが起こらないことを意味する。

 

ただし、この記述により表現されているのは、思い込みによる認識への影響の片方の側面に過ぎない。

実際には、思い込みの機能は、認識を二重に支配するものなのである。

次に、このことを異質なパラダイム間における思い込みの作用を比較することで確認しよう。

 

※遷移度/明瞭度の機構

 

思い込みの影響/支配の二重性➡既知のパラダイム、未知のパラダイム➡確証バイアス/保守性バイアス

複数の異なるパラダイムは、モナド的観点の認識領域において異なる様相を呈することになる。

①既知パラダイム/未知パラダイムにおける概念の集合の配置=遷移度/明瞭度

ある認識主体にとって、

既知のパラダイムを構成する概念のグループの遷移度/明瞭度は高い水準にある。反対に、

未知のパラダイムを構成する概念のグループの遷移度/明瞭度は低い水準にある。

つまり、既知と未知のパラダイムにおいて、遷移度/明瞭度は対照的な関係性にある。

 

※ここである認識主体が、自身の思考の暗黙の前提となっている既知のパラダイムを無自覚に好ましいものと認識しているとしよう。そして、新しい未知のパラダイムに関係する知識や情報に部分的に接する機会があるとしよう。このとき、思い込みはこのように機能する。

このとき既知のパラダイムにおいて、思い込みは、自身の信念に合致する知識・情報に対して受容的に働き、確証バイアスによって自身のパラダイムを強化するように機能する。さらに、ここでは暗黙的なパラダイムへの確信を深めるような認識の変化が起こる。(順強化)

ところが未知のパラダイムにおいて、思い込みは、自身の信念に反する知識・情報に対して排他的に働き、保守性バイアスによって新しいパラダイムを否定するように機能する。そして、このとき認識の変容は起こらない。未知のパラダイムに反抗するとき、既知のパラダイムの正しさへの確信はさらに深いものになる(反強化)

このように、思い込みは異質のパラダイムに対して異なる仕方で機能し、認識に二重の支配を及ぼすのである。

 

認識表現モデルにおける思い込みの解釈――地理学的/光学的、

思い込みを疑うことの意義・価値

認識の問題は、すべて地理学的な問題であり、光学的な問題である。

モナド的観点にとって、認識領域は無限に広大である。

認識領域はまず既知の領域と未知の領域に区分される。既知の領域は、思考によって既に解明されたことを信じられている領域である。未知の領域は、思考がかつて到達したことがない領域である。

認識領域には、遷移度/明瞭度――認識を構成する諸々の要素の分布と各領域の照度が考えられる。ところが、認識領域全体の構造的な流動性は基本的には高くない。認識は、先ほどのモデルにおいて暗示されていたように、思い込みによって地理学的かつ光学的に規定され条件付けられるからである。

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思い込みを疑うことは、こうした条件下において、認識領域の因習的な構成を破壊することを意味する。

真に懐疑的な思考は、遷移度/明瞭度の変化を促進し、認識の変容を引き起こす。

これは認識領域上において、地理学的に新しい領域が開拓されること、光学的に暗がりの領域が明るみになることを意味する。思い込みを疑うことは、U領域への地理学的な冒険を肯定することであり、新しい光を受容することなのである。

 

 

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思い込みは、なぜ・どのようにモナド的観点の認識様式に正しさの感覚を与えるのか?

 

パラダイム論

1962年、科学史家トーマス・クーンは『科学革命の構造』という著作のなかで「パラダイム」という概念を提唱した。人類の歴史のなかで「パラダイム・シフト」という現象が起こることがある。

パラダイムとは「考え方・捉え方の枠組み」のことで、我々が持つ時代的なパラダイムが劇的に変容することをパラダイム・シフトという。

 

■パラダイム概念/パラダイム・シフト

概念空間論では、パラダイムとは、特定の信念体系を伴う概念空間であると考える。

 

パラダイム概念の基本的な意味規定を終えたので、次にパラダイム・シフトの考察に移ろう。

まずパラダイム・シフトという事象において自明の前提となるのは、

認識主体にとって複数のパラダイムが存在することである。

ここで、パラダイムの集合(パラダイムのグループ)を考える必要性が生じる訳だ。

ただし、個々のパラダイムは、認識主体にとって均質的ではなく、同じような様相を呈するものでもない。

既知のパラダイムと未知のパラダイム、古いパラダイムと新しいパラダイムを区別しなければならないのである。

 

パラダイム・シフトの条件:①懐疑②創造③証明

パラダイムの基本的な仕組みから、

パラダイム・シフトを引き起こすには、幾つかの段階を経る必要があることが分かる。

パラダイム・シフトの条件は、次の3つにまとめられるだろう。

 

①既存のパラダイムを疑うこと

②新しい概念群を獲得すること

③新しいパラダイムの正当性を証明すること

 

第一の条件は、既存のパラダイムを疑うことである。

一般に思い込みや信念体系は、古いパラダイムへの確信を強め、

反対に未知のパラダイムに対しては保守的なバイアスとして機能することが多い。

新しい考え方や枠組みをどれ程学んだとしても、それだけでは十分ではなく

思い込みを疑うことができなければ、パラダイム・シフトは起こらない。

思い込みを疑うことは容易ではない。

しかし思い込みを疑うためには、それを自覚しなければならない。

この最も困難な認識上の運動によってはじめて、パラダイム・シフトの可能性が開かれる。

 

第二の条件は、新しい概念群の獲得である。

パラダイムは複数の概念の結び付きによって成立する。

未知のパラダイムを構成する概念群を獲得し、

遷移度/明瞭度を高める必要がある。

 

第三の条件は、新しいパラダイムの正しさが証明されることである。

既存のパラダイムが疑われるようになり、

新しいパラダイムを構成する諸概念が揃ったとしても、

それだけでパラダイム・シフトがすぐに起きるとは限らない。

新しいパラダイムの正当性が認められたり、正しさを保証する証拠が発見されることである。

しかし、このように述べたからと言って、すぐさま自然科学的な基準や数学的な方法を思い浮かべる必要はない。

概念空間論において、新しいパラダイムの正当性の証明は、

際限のない遷移度/明瞭度の高まりの果てに自然になされるものものだからである。

 

未概念法

第n章では、概念空間論における強力な方法論である未概念法について述べる。

未概念法は、新しい概念を連続的に創造することによって、問題解決を図る方法論である。

この方法論では、後述の通り、無数のパラダイム(思考モデル)の集合を通じて思考する。

未概念法は、パラダイム・シフトを

パラダイム・シフトの方法

【思考モデルP】では、パラダイムの集合を考える。

パラダイム集合P={P₀  ,   P₁  ,P₂ ,・・・ P

このパラダイム集合Pの中で、自分にとっての既存のパラダイムをP₀、新しいパラダイムをP₁~Pn

とする。そして、この既存のパラダイムP₀から新しいパラダイムP₁~Pnへの移行を、パラダイム・シフトと定義する。

 

 

 

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